山はジム、登山は運動なヒミツ
- 筋肉がつく
- 心肺機能が高まる
- 血液循環がよくなる。
- バランス力が高まる
- 脂肪が燃える。
- 持久力が高まる。
これらの効果があります。
登山は「歩く」ことを主体としたシンプルな運動です。「走る」ことに比べると運動強度が低く、関節への衝撃も少ないため体を痛めず体力をつけていくのに適しています。
例えば山の斜面を登り下りすることは自分の体重を負荷にした筋力トレーニングで、平地を歩くだけでは鍛えにくい筋肉を強化できます。スタートからゴールまで何時間も歩くことで持久力が高まり、血液循環がよくなり新陳代謝も活発になります。
ただ、「歩くだけ」なのにさまざなな体への変化や健康効果がもたらされるのは変化に富む山の地形と環境の中で行う運動だからです。
具体的に脂肪が燃える
運動としての登山のメリットは長時間続けられることではないでしょうか。運動時間がないとそれだけでエネルギーの消費量が増えます。主なエネルギー源として脂肪を利用します。脂肪がある限り、酸素を取り込んでエネルギーを作り続けることができるのです。体力をつけたい人や痩せたい人にとっては最適です。
脂肪を効率よく燃やすには
有酸素運動が効果的です。有酸素運動は「体脂肪を効率よく燃焼させる」という効果があります。有酸素運動では一定時間を超えると体内に貯蔵している「脂肪(中性脂肪)」をエネルギー源として使います。脂肪は、体脂肪として皮膚の下(皮下脂肪)や内臓の周り(内臓脂肪)に貯蔵されているので、運動でエネルギー源として使われれば、その分減らすことができます。余分な皮下脂肪が減れば体のラインはスッキリし美しくなります。同様に内臓脂肪が減れば、ウエストが細くなるだけではなく生活習慣病のリスクも減らすことができます。まさに一石二鳥なのです。
糖質・脂質(脂肪)・タンパク質(三大栄養素)が主な運動時のエネルギー源として使われます。この栄養素は使われる順番がある程度決まっており、運動強度とも密接にかかわってきます。このメカニズムを理解して登山することでより脂肪燃焼効果の高い登山ができます。
三大栄養素の中で最初にエネルギーに代わるのは「糖質」です。糖質は即効性のあるエネルギー源でどんな運動でも運動開始直後は糖質が主なエネルギー源となります。登山で言うなら、登山口からゆっくり歩き始めたときなどがそうです。この時はまだ、脂肪やたんぱく質はほとんど使われていません。糖質は、起動時間は早いですが、体内に貯蔵されている量が多くないためすぐ枯渇してしまいます。
そこで、次のエネルギー源になるのが「脂肪」です。脂肪は、糖質に比べてはるかに沢山体内に貯蔵されています。そのため長時間動き続けても、枯渇せず燃え続けることができます。脂肪は即効性はないものの、持続力では優れています。そのため長時間にわたって歩き続ける登山では、脂肪のエネルギーがカギとなります。
「ゆっくり」「じわじわ」「ローパワー」で脂肪燃焼
登山口からスタート直後は、主に糖質のエネルギーによって体は動いています。そのあと、体が温まり、着衣を1枚脱ごうかと考えるころには、本格的に脂肪燃焼が始まります。ここで運動強度を高くしすぎてしまうと、脂肪よりも糖質がエネルギーとして使われるようになってしまいます。こうなるとエネルギーの枯渇が速い糖質の性質上運動を長時間続けることができなくなってしまいます。例えば息が切れるほどのスピードで登ってはすぐ休憩を入れ、また休憩を入れて、また登っての繰り返しでこのような登山を続けていると疲労しやすく、糖質のエネルギー補給を頻繁に行わなければなりません。 脂肪燃焼を優先的に燃やし、しかもできるだけ疲労しないようにするには、「ゆっくり、じわじわ、低強度」で登り続けることです。
糖質補給の大切さ
糖質がある程度なくなってくると、本格的に脂肪燃焼が始まります。ならば脂肪を効率よく燃やすために、登山中に糖質補給を抑えれればいいかと言えばそんなことはありません。糖質を全く補給しないと長時間の運動ではバテてしまいます。時間の経過にともなって主なエネルギー源が糖質から脂質に移ったとしても、糖質が全く使われなくなるのではなく、運動を続けている限り、糖質は種火のようにずっと燃え続けています。そうすることで血液中の血糖値を下げないように保っています。そのためエネルギーが大量に消費される登山中においては、糖質が完全に枯渇しない程度に摂取することが大切です。